野菜ソムリエの資格と目標!


2020年に新型コロナウィルス感染症(COVID‑19)が本格的に日本に上陸し国内でマスクが不足してきた頃、まだ緊急事態宣言が発動されていなかったので、2020年2月12日にキッチンカーのセミナーに参加し、2020年2月22日には、野菜ソムリエ講座に参加しはじめました。
2020年3月14日座学の講座が完了し、その後、修了試験勉強やベジフルカルテという提出物作成を行うも、コロナによって受験日程が、延期になり2020年5月にやっと資格を取得できました。

私が農家として、野菜ソムリエとして、一番大事にしたいと思った事は「野菜や果物について理解し発見し、感動したことを表現し伝える力をもつこと」です。

野菜や果物にも人間のようにひとつひとつ個性があり、環境や状況に伴って変化します。

食べ物として美味しいだけではなく、育つ環境、育った時期、収穫のタイミング、品質、安全性、鮮度、規格、栄養、昨日、嗜好、用途、保存性などのパーソナリティ要素を学んだことで、農家だからこそ知りえる情報や違いでもあることに改めて気づけました。

目標は、大根という野菜のエバンジェリストとして、これから沢山のことを学びつつ「農家の畑ごはん たねやキッチン」では、千葉県の旬の食材を美味しく食べるコツなどの情報を発信していき、たくさんの生活者の方達と野菜の魅力を共有し、喜びと楽しさを分かち合える日々を送りたいです。

日本野菜ソムリエ協会 野菜ソムリエ 泉水淑子

大根の里ブランドの取り組みについて

日本における大根の主要産地をご存知ですか?令和3年時点で1位は北海道、2位が千葉県、3位が青森県です。
にもかかわらず、日本を代表する地大根と言われる在来大根は、このトップ3には存在しません。(情報元:考える大根 監修:東京農大/NPO法人「良い食材を伝える」)

つまり現在、日本に流通されている主な大根は品種改良されて生産しやすく、綺麗で美味しい大根に変化し、大根の生育に適した環境(土地)で就農する農家によって生産されているのです。

大根の里は「姉崎だいこん」を生産している姉崎蔬菜組合(15軒の農家)に属する「たねや泉水農園」によるブランド名称です。

では、大根の里ブランドで何をしたいのか?

1.大根の魅力について、さまざまな角度から深堀し大根について、もっと理解したい。
2.伝統的な地大根がない千葉県で、なぜ美味しい大根が育つのか知りたい。また地大根の種を植えてみたい。
3.複数種の大根を育て、特徴や違いを理解し、加工品や料理のバリエーションを増やしたい。
4.各地域で代々受け継がれてきた、地方食としての大根料理に挑戦してみたい。
5.旬の品種の特徴に合わせた大根の食べ方や、保存の限界を知る為の実験をしたい。

その出口としては、記事や画像、動画だけではなく、実際に体験していただけるよう、「農家の畑ごはん たねやキッチン」として飲食事業を立ち上げ、キッチンカーで大根料理を販売していこうと思います。

秋大根おススメの食べ方

ここで紹介する大根の特徴は、JA市原市 姉崎蔬菜組合(あねさきそさいくみあい)から出荷している「姉崎だいこん」になります。
同じ千葉県産でも、地域や農家によって、植えている時期や品種、肥料の配合による土の状態で、おススメの食べ方に多少の違いがあるため、参考程度にお考えくださいませ。

姉崎だいこんは、10月~12月初旬ぐらいまでは、秋大根として育てた品種が出荷されます。11月下旬~は、少しずつ冬大根に切り替わっていきますが、秋大根の主な品種は、霜が降り始めるまで、細胞組織が強い状態で育ち出荷されます。

お客様から、1時間煮込んだが、大根が軟らかくならないと、お問合せいただいたこともありますが、「たねや泉水農園のシールが貼られていて」直売所等で売っている大根は、新鮮さを重視しています。極端な話、秋大根の姉崎だいこんは、12月頃に収穫される大根や、品種や肥料の状態が違う大根に比べて細胞が壊れにくいので、煮物で柔らかくするには、煮込む時間や細胞が壊れる状態にするなどの手間をかけることになります。

ここで誤解してほしくないのは、決して筋っぽい状態であったり、ガリガリとした食感の状態が悪いものではなく、みずみずしく、ぴちぴちです。

【写真】たねや泉水農園 直売販売用シール ©大根の里

たねや泉水農園の直売用の大根は下記の工程により出荷までの作業を行います。

1.朝、畑で人間の手をつかって1本ずつ収穫します。収穫した大根は、丁寧にトラックに積み込むので、機械で収穫する産地のようにローラーなどの上を転がした時につくような傷はつきません。

2.トラックに積み、畑から洗い場まで運んだ後、乾燥を防ぐため、トラックの荷台に置かれている状態のまま水をかけてビニールシートのカバーをかけて保護します。

3.井戸水を大量に使って3度洗いします。すべて手作業なので、大根の皮など表面には、ほとんど傷がつきません。

4.最後に棚にならべ、水をかけながら、1本ずつ保存袋に入れます(手作業です)
※この間も、なるべく日差しや風にあたって乾燥しないよう、20本単位で作業を進めます。
よって1日の出荷量は約120本程度で、120本を複数の店舗に分散して配達します。

5.配達は霜がおりて、午後抜きしか出来ない場合を除き、原則、収穫したその日に配達します。複数店舗あるため、遠い店舗は夕方になってしまうことがありご迷惑をおかけしております。

※また真冬で雨が降った翌日などの朝に収穫した大根は、水分をめ~いっぱい含み、大根がぱんぱんになっているので、小さな振動でも、パンっ!と大根に亀裂が入ることがあります。
亀裂だいこんは、それはそれは美味しいので、直売所に説明付きで置いています。決して扱いの悪い大根ではないことを、ご理解いただき購入いただけると幸いです。

【写真】姉崎だいこん(秋大根) ©大根の里

上記の説明で、たねや泉水農園のだいこんは、表面の皮を傷つけないようこだわっている事が、ご理解いただけましたでしょうか?

葉つき大根を、袋に入れず乾燥した室内に置いておくと、1日程度で、大根はクネクネふにゃふにゃに柔らかくなってしまいます。水分が抜けている大根は新鮮なものに比べ短時間で柔らかく煮る事ができます。

ただ、大根料理は煮物だけではありません。シャキシャキの美味しい大根おろしを食べたい方もいるし、大根サラダが好きな人もいます。

さまざまな大根料理のニーズにこたえたい!特に産直だからこその新鮮さを感じてほしいという思いで新鮮さを極めてます。

もし秋大根を煮物に使いたい場合は、葉っぱがついたまま、ビニールから取り出して、2日間ぐらい室内で保存しておいたものを使ったり、叩き大根で砕いたものを煮込むなど、あえて細胞組織を壊してからご利用くださいませ。

最後になりますが、秋大根のおススメ料理は、炒め物です。
ニンニク、豚バラ肉を炒め、肉の色が変わってきたら、大根を加えて炒め、大根の色が透明になりかけたら、塩コショウ、みりん、オイスターソースで味付けします。

炒めて味を付けた後でもコリっと歯ごたえが残ります。
姉崎だいこんは、型崩れしていない状態でも、味はしっかり染み込んでくれるので、秋大根を味わうには一番美味しく感じます。ぜひ試していただければ幸いです。

【写真】姉崎だいこんの豚バラオイスター炒め ©大根の里